重要な書類はどこにある?
遺産整理業務でとりわけ苦労するのが、相続財産の所在がわからない、というご相談です。
預金通帳が見つからない、権利証がない、実印・銀行印が見つからない、遺言書を書いたらしいけれどどこにあるのかわからない、といった内容の相談は司法書士にとっても悩みどころです。
まずは落ち着いて、自宅の金庫、引き出し、たんすの中などを調べてみましょう。通帳と銀行印を別々に保管している方も多いため、家のなかをじっくり探してみます。同居している家族の方がいらっしゃった場合であればおおよその見当がつくでしょうから、あわてずにひとつひとつ確認することが重要です。自営業の方であれば、職場も調べておくべきです。自営業の方は、仕事の重要書類と個人の重要書類を一緒に保管していることも多々あります。
問題は同居している方がいない場合で、詳しい状況がまったくわからない場合です。このような場合も同様に自宅をくまなく探してみましょう。お亡くなりになったからといって、古い書類なども捨てずに保管しておくことも重要です。もし通帳などが見つからなかった場合でも、貸金庫のカギなどが見つかった場合は、銀行の貸金庫のなかにすべての重要書類が入っていることもあります。
貸金庫があることがわかっているが、その貸金庫がどこの銀行にあるのかわからない場合は、通帳から貸金庫利用料が最低毎年1回は落ちているはずですから、そこから発見できることがあります。そのため過去現在の通帳をよく確認することも重要です。
また銀行の貸金庫を借りている場合は、その銀行の口座持っている場合がほとんどですので、通帳に記載のある銀行の支店に行って話を聞いてみるのもひとつの手です。
最近ですと、貸金庫は利用していなかったけれど、貸倉庫(レンタルボックス)を借りていて、そこにたくさんの書類が保管してあったケースもありました。
どこに何の書類を保管したらいいのか、考え方も人それぞれですので、重要な書類の調査は大変です。現在有効な通帳が全く見つからなかったケースもあり、司法書士でもそのケースは大変苦労しました。
また、詳しく調査をするなかで思いもかけない財産が見つかることもあります。あまりにも古い通帳だったため、まさか預金はないだろうと相続人の方は考えていましたが、年のため当職が調査したところ、数百万円の預金が見つかったこともありました。おそらく貯金していた故人本人も忘れていたのではないかと思えるケースでした。
相続財産の調査は、場合によっては大変な手間と時間がかかることもあります。宇都宮市内、栃木県内だけでもたくさんの金融機関、証券会社、保険会社があります。当職が認定会員となっている一般社団法人日本財産管理協会でも、相続財産の調査方法などについて、度々研修会をおこなっているほか、会員同士での情報交換もよくおこなわれており、栃木県内で遺産調査、相続財産調査で悩まれている方はぜひ一度当職までご相談いただければと思います。