戸籍の種類について
銀行、証券会社などから相続手続にあたって、戸籍謄本などの提出を求められた場合に、戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍などの区別がよくわからないというご相談をとてもよくいただきます。そこで、いろいろな戸籍の種類・呼び方を整理してみましょう。
(1)戸籍謄本と戸籍抄本
戸籍謄本とは、今現在有効な戸籍で、謄本は家族全員分、抄本は家族のうち一部の者だけが記載されたものを指します。戸籍だけ提出するよう求められた場合は、提出を要する人物の最新の戸籍をください、と市町村役場の窓口で申し出れば発行してもらえます。家族全員分が記載されたものが必要な場合は戸籍謄本、一部の者だけのものが必要な場合は戸籍抄本を取得しますので、どちらが必要かは確認してみましょう。わからない場合は戸籍謄本を取得するのが無難と言えます。
(2)原戸籍謄本と原戸籍抄本
戸籍は、明治以降これまでに何度か形を変えて作りなおされています。これは自分の戸籍をさかのぼって取ってみると、書類の形式が変化していることからもわかると思います。こういった戸籍の形を変え作りなおすことを「改製」といいます。戸籍が改製された理由には、法律の改正や手書きからコンピューター化への移行などが挙げられます。
そして、改製される前の戸籍のことを「改製原戸籍」といい、略して「原戸籍」と呼んだりします。戸籍をさかのぼってとる場合は、原戸籍まで取る必要がある場合がほとんどです。
家族全員分のものは原戸籍「謄本」、家族のうち一部の者だけの記載があるものを原戸籍「抄本」と呼ぶことは変わりありません。
(3)除籍謄本と除籍抄本
除籍とは、読んで名のごとく「除かれた」「戸籍」のことです。すでに全員死亡しているとか、全員結婚して別の戸籍に移っているとか、本籍地が別の市町村に移っている場合などには、現在有効な戸籍の情報が何もなくなっているため、戸籍から除かれることになり、この戸籍を除籍といいます。家族全員分のものは除籍謄本、家族のうち一部の者だけの記載があるものを除籍抄本と呼ぶことは変わりありません。
亡くなった方の出生からの戸籍を集めるように求められた場合は、さかのぼって戸籍を調べていくと、たいていの場合は除籍謄本・除籍抄本まで取得することになります。
(4)戸籍の附票とは
戸籍、除籍、改製原戸籍のほかに、戸籍関係の書類として「戸籍の附票」があります。戸籍は住所とは関係ありません。しかし、それでは戸籍に記載された人の住所と戸籍とを関連づけることができません。そこで、住所の変遷が記載されている帳簿が本籍地にあります。それが「戸籍の附票」です。
たとえば、ずっと宇都宮市が本籍地の人でも、住所は鹿沼市、高根沢町、壬生町、日光市と点々としている方でも、宇都宮市で戸籍の附票をとると、すべての住所が記載されていてその変遷を証明できます。
※ただし戸籍の附票の保存期間の問題ですべてを証明できない場合もあります。