預貯金・株などの相続
銀行預金・郵便貯金の名義変更(相続手続、解約、払い戻し)
司法書士は不動産登記のイメージが強いですが、銀行預金・郵便貯金の相続手続もおまかせいただくことが可能です。
(※司法書士業務について「当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、管財人、管理人その他これらに類する地位に就き、他人の事業の経営、他人の財産の管理若しくは処分を行う業務又はこれらの業務を行う者を代理し、若しくは補助する業務(司法書士法施行規則第31条第1号)」
相続人の方が自分で戸籍謄本などの必要書類を集めたうえで、金融機関に何度か出向いて、窓口で相続手続をすることも可能です。しかし、これらの面倒な手続を司法書士にご依頼いただければ、司法書士が代わりに銀行預金、郵便貯金の相続手続、解約、払い戻しなどの手続をおこないます。
不動産登記をご依頼いただいた場合、亡くなった故人の出生からお亡くなりになるまでの戸籍謄本、相続人の方の戸籍謄本などを集めて法務局に提出しますが、これらの書類は登記完了後に還付されますので、この還付された戸籍謄本などを利用して預貯金の名義変更をおこなうことも可能です。戸籍の収集などのご面倒に感じる手続から、窓口に出向く手間などをすべて司法書士が代理でおこないます。
預金口座の相続手続の流れ
銀行口座、郵便貯金の口座の名義人がお亡くなりになったことを銀行や郵便局が知ると、特定の相続人から預金の引き出しをされることを防止するため、銀行や郵便局は口座の凍結をします。口座が凍結されると、預金の引き出しができなくなるほか、公共料金の引き落としなどもできなくなります。
これは、特定の相続人が預金の引き出しをすることによって、相続人間でトラブルになることがあり、これに銀行や郵便局が巻き込まれることを防ぐためです。被相続人名義の口座が凍結された場合、戸籍謄本などと併せ、遺言書や遺産分割協議書などを提出することにより、預金の相続手続が完了すれば、凍結された口座の預金を動かすことができます。
一方、銀行や郵便局が被相続人が亡くなったことを知らなければ、銀行口座は凍結されないため、被相続人名義の口座から入出金ができます。しかし、多額な使途不明金が引き出しされていたりした場合、後日相続人間でトラブルの原因となりかねません。口座が凍結されていない場合でも、お金の引き出しなどは避けるべきでしょう。
- 銀行に相続発生の届出・口座の凍結
- 戸籍謄本など必要書類の収集
- 遺言、遺産分割協議書の準備
- 金融機関所定の相続手続の書類に記入
- 払い戻し
必要書類
銀行預金、郵便貯金の相続手続に必要な書類
- 金融機関所定の払戻し請求書
- 被相続人の預金通帳と届出印
- 払い戻しを受ける相続人の身分証明書
遺言がある場合 |
など |
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遺産分割協議による場合 |
など |
家庭裁判所の調停・審判の場合 |
など |
各金融機関の預金口座の相続手続
当事務所では、以下の金融機関の預金口座の相続手続が可能です。
- 郵便局(ゆうちょ銀行)
- 足利銀行
- 栃木銀行
- みずほ銀行
- りそな銀行
- 東京三菱UFJ銀行
- 常陽銀行
- 筑波銀行
- 群馬銀行
- 栃木信用金庫
- 烏山信用金庫
- 鹿沼相互信用金庫
- 三井住友信託銀行
- 三菱UFJ信託銀行
- 東邦銀行
- 山形銀行
- 大東銀行
- JAうつのみや
- 新生銀行
- 楽天銀行
- ジャパンネット銀行
- イオン銀行
- ソニー銀行
- 住信SBIネット銀行
など、栃木県内ほか、全国の銀行、信託銀行、信用金庫などに対応可能です。
生命保険金の請求手続
声明保険金は、受取人がどのように指定されているかにより法律的な性質、手続がかわってきます。詳しい内容は保険証券、保険契約書を確認するほか、直接保険会社に問合せして確認します。
1保険金の受取人が「相続人のうちの誰か」を指定している場合
生命保険金の請求権は受取人の権利となります。受取人の方が他の相続人の印鑑などをもらわなくても、直接保険会社に保険金の請求が可能です。
この場合、保険金は法律上相続財産に含まれません(ただし相続税の計算には含めます)。
2保険金の受取人が亡くなった被相続人自身を指定している場合
亡くなった方が、自分自身を保険金の受取人として指定していた場合、保険金の請求権は相続財産となり、相続人全員で遺産分割の対象になります。
【注意事項】
生命保険(死亡保険)のほか、入院給付金、手術給付金などにも加入している場合は注意が必要です。とくに相続放棄を考えている方は、保険金が相続財産に含まれるのか・含まれないのか、受け取っても相続放棄ができるのかどうかを慎重に見極める必要があります。
必要書類
生命保険金の請求手続に必要な書類
- 保険証券
- 死亡診断書など
- 被保険者の戸籍謄本、除籍謄本、住民票など
- 受取人の戸籍謄本と印鑑証明書
など
株式の相続手続
故人が株を所有していたことがわかった場合、その株が上場会社の株式なのか、上場していない会社の株式なのかにより手続が大きく異なります。なお、株式の相続手続は、相続人の方自らが自分でやっていただくことができますし、司法書士にご依頼いただくことも可能です。
上場会社の場合
上場会社の株式は、平成21年1月5日から「株券の電子化(ペーパーレス化)」によって、証券保管振替機構(ほふり)と証券会社などに開設された口座で電子管理されています。つまり、紙でつくられた「株券」は発行されていません。
※なお、上場会社の株式で、株券の電子化手続を期限内にとっておらず、株式の電子化がされていない株式を所有されている方は、信託銀行などの特別口座で管理されています。この場合の相続手続については、当事務所までお問い合わせください。
上場会社の株式は、証券会社をはじめ、信託銀行、その他の銀行でも取り扱っており、被相続人がどの証券会社で上場会社の株式を管理していたかわかっている場合は、その証券会社に顧客ごとに設けられている取引口座の相続手続をすることになります。取引口座のある証券会社や信託銀行に死亡の事実を連絡すると、書類が送付され、その証券会社などに対し、取引残高報告書の発行を請求します。取引残高報告書には、被相続人が保有する株式の詳細が記載されています。
口座を管理している証券会社が不明な場合は、定期的に送付される取引残高報告書を確認するか、証券保管振替機構(ほふり)に開示請求することができます。証券保管振替機構(ほふり)は、口座を開設した証券会社を横断的に調査することができるため、どの証券会社に口座があるか判明するのです。
必要書類
- 被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本など
- 相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書
- 遺言書または遺産分割協議書
- 証券会社所定の書類
など
証券口座の開設
株式を相続する相続人は、証券会社などに証券口座を持っていなければなりません。もし証券口座を持っていないのであれば、あらたに開設する必要があります。相続人名義の証券口座がない状況で、被相続人名義の株式口座の株式を直接解約して売却し現金化することはできません。
非上場会社の場合
非上場会社の場合は、直接株券を発行している会社に死亡した旨を通知します。非上場会社の株式は、株券電子化制度が適用されていないため、相続人が直接会社に連絡し、株式の名義人を変更してもらいます。なお、上場会社の株式であっても、非上場会社の株式であっても、相続財産に含まれます。つまり、相続税の計算にも参入する必要があります。非上場会社の株式の評価はとても難しいので、税理士に相談することがおすすめです。
貸金庫の開扉
亡くなった方が銀行の貸金庫を利用しているケースがあります。貸金庫には、被相続人の銀行の通帳や実印、印鑑カード、土地建物の権利証などが入っていることが多いですが、なかには現金や貴金属、金塊が入っていたこともあります。また、遺言を貸金庫に入れているケースもよくお見かけします。相続財産を確定するためにまずは貸金庫を開けてみなければわからない、となった場合、どのような手続をおこなう必要があるでしょうか。
銀行の貸金庫を利用していた方がお亡くなりになった場合でも、銀行はすぐに貸金庫を開けてくれたり、中身の内容を相続人に教えたりしてくれません。
預貯金の相続手続と同じく、銀行側は相続人間のトラブルに巻き込まれることをさけるため、貸金庫の開扉をする際には、必要書類の提出とともに、相続人全員が立ち会うことを求めます。つまり、相続人の全員の同意がない限り、貸金庫の開扉には応じてもらえません。
なお、遺言書の内容で、遺言執行者に貸金庫の開扉の権利をあたえている場合は、遺言執行者が貸金庫の開扉をすることができる場合があります。開扉した貸金庫を相続人が継続して使用できるかどうかは金融機関との契約内容によりますが、ほとんどの銀行では、一度解約となり、継続して利用したい場合は相続人があらためて銀行と契約して使用する必要があります。貸金庫の開扉に立ち会う時間がない、面倒な貸金庫の開扉手続をまかせたい、という場合で、相続人全員の同意・依頼があれば司法書士がこれをすることも可能です。お気軽に当事務所までご相談ください。
必要書類
- 銀行所定の書類
- 被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本など
- 相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書
- 貸金庫のカードや鍵